15時の童話
ひるさがりの午後。 コーヒー片手に童話はいかがですか?

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プロフィール

Author:まみや ゆうき
 「文学や 文芸ではなく 文療を」

 ひとり ひとり、
 同じ人間がいないように、

 ひとつ ひとつ、
 心の痛みは違うもの。

 お医者さんが、
 薬を処方するように、

 その人にあった、
 その人のための“童話”を
 処方いたします。

 ご用命は、下記、
 「フェアリーテイル・セラピー」より。

■オフィシャル・ホームページ
ひとつだけ

■絵本創作ユニット「くまみみ」
・くまみみのおもちゃ箱

■提携会社

・Art Bridal Creation様
・office-y-two様
・Flower Land Japan様

■作品掲載サイト
「5分で癒される物語」
5分で癒される物語を配信しています。時間がない人でもちょっとの時間にちょっとだけ元気になれる作品集。



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かがやく とりに なるために

 ちいさなもりの ちいさな みずうみに、いちわの アヒルが くらしていました。
 アヒルは、うまれてから ずっと このみずうみで くらしていたので、ほかのせかいのことを しりません。
 ただ、まいにち のんびりと みずうみを およいでいるのでした。

 あるひのこと。
 いつものように、アヒルが みずうみを およいでいると、とおくのそらに なにかが みえました。
 それは、ハクチョウのむれ。
 まっしろな はねをひろげて、ゆうがに そらをとんでいきます。
 アヒルが、ぼんやりと そのすがたを ながめていると、とつぜん みなもが ゆれました。
 おどろいた アヒルが ふりかえると、そこには ちいさなハクチョウが おぼれているでは ありませんか。
 アヒルが、ハクチョウをたすけると ハクチュウは なんども おれいをいいました。
 アヒルとハクチョウは、すぐに うちとけて ともだちになるのでした。

 それから、すうじつが たちました。
 アヒルとハクチョウは、ひびを のんびりとくらしました。
 いっしょに えさをたべたり、よぞらのほしを かぞえたり。
 それは それは、たのしいじかんが すぎていったのです。
 そんな あるよるのこと。
 ハクチョウは、とおくのそらを みあげていいました。
 そろそろ、おわかれだよ、と。
 アヒルは、どうして ハクチョウが そんなことをいうのか まったくわかりません。
 いつまでも、いっしょにいられると おもっていました。
 いつまでも、たのしいじかんは つづくとおもっていたのです。
 しかし、ハクチョウには ゆめがありました。
 だれからも そんけいされる、きれいなハクチョウになること。
 そのためには、あの ハクチョウのむれに おいつかなくては なりません。
 このまま、みずうみに いるわけには いかないのでした。
 アヒルは、ハクチョウの すがたを まじまじと みつめてみました。
 そこには、いままで きづかなかった、きれいな トリのすがたが うつります。
 じぶんとは、ちがう。
 ハクチョウなのだから、ゆめをみても おかしくない。
 アヒルは、しずかに ハクチョウから とおざかりました。
 おわかれのじかんです。
 ハクチョウの さよならに、アヒルは こたえませんでした。
 ハクチョウのすがたを みたくない。
 アヒルは、そう おもい、かおを みずうみのなかに しずめました。
 そのときです。
 アヒルのめに、ハクチョウの みずかきが みえました。
 あんなに ゆうがに およいでいるように みえたハクチョウでしたが、じつは ひっしに およいでいたのです。
 アヒルである じぶんよりも、はるかに みにくい みずかきのうごきです。
 その みずかきが、ふっと みえなくなりました。
 アヒルが みずうみから かおをあげると、ハクチョウのかげが つきにむかって とんでいくのが みえました。
 「ありがとう!ずっと、ともだちだよ!」
 アヒルのこえに、ハクチョウは おどろいたように ふりかえります。
 よるのそらに、たくさんの さよならと ありがとうが あふれだすのでした。

 つぎのひ。
 アヒルは、うまれて はじめて、もりのそとにでることに しました。
 じぶんも、ハクチョウのように ゆめをもっていきることに きめたのです。
 それは、けわしいみちのりかも しれません。
 ゆめなんて、みつからないかも しれません。
 それでも、みずうみにいるより ずっと マシです。
 だれもいなくなった みずうみに、しずけさが もどります。
 アヒルのぼうけんは、まだ はじまった ばかりなのでした。