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かがやく とりに なるために
ちいさなもりの ちいさな みずうみに、いちわの アヒルが くらしていました。 アヒルは、うまれてから ずっと このみずうみで くらしていたので、ほかのせかいのことを しりません。 ただ、まいにち のんびりと みずうみを およいでいるのでした。
あるひのこと。 いつものように、アヒルが みずうみを およいでいると、とおくのそらに なにかが みえました。 それは、ハクチョウのむれ。 まっしろな はねをひろげて、ゆうがに そらをとんでいきます。 アヒルが、ぼんやりと そのすがたを ながめていると、とつぜん みなもが ゆれました。 おどろいた アヒルが ふりかえると、そこには ちいさなハクチョウが おぼれているでは ありませんか。 アヒルが、ハクチョウをたすけると ハクチュウは なんども おれいをいいました。 アヒルとハクチョウは、すぐに うちとけて ともだちになるのでした。
それから、すうじつが たちました。 アヒルとハクチョウは、ひびを のんびりとくらしました。 いっしょに えさをたべたり、よぞらのほしを かぞえたり。 それは それは、たのしいじかんが すぎていったのです。 そんな あるよるのこと。 ハクチョウは、とおくのそらを みあげていいました。 そろそろ、おわかれだよ、と。 アヒルは、どうして ハクチョウが そんなことをいうのか まったくわかりません。 いつまでも、いっしょにいられると おもっていました。 いつまでも、たのしいじかんは つづくとおもっていたのです。 しかし、ハクチョウには ゆめがありました。 だれからも そんけいされる、きれいなハクチョウになること。 そのためには、あの ハクチョウのむれに おいつかなくては なりません。 このまま、みずうみに いるわけには いかないのでした。 アヒルは、ハクチョウの すがたを まじまじと みつめてみました。 そこには、いままで きづかなかった、きれいな トリのすがたが うつります。 じぶんとは、ちがう。 ハクチョウなのだから、ゆめをみても おかしくない。 アヒルは、しずかに ハクチョウから とおざかりました。 おわかれのじかんです。 ハクチョウの さよならに、アヒルは こたえませんでした。 ハクチョウのすがたを みたくない。 アヒルは、そう おもい、かおを みずうみのなかに しずめました。 そのときです。 アヒルのめに、ハクチョウの みずかきが みえました。 あんなに ゆうがに およいでいるように みえたハクチョウでしたが、じつは ひっしに およいでいたのです。 アヒルである じぶんよりも、はるかに みにくい みずかきのうごきです。 その みずかきが、ふっと みえなくなりました。 アヒルが みずうみから かおをあげると、ハクチョウのかげが つきにむかって とんでいくのが みえました。 「ありがとう!ずっと、ともだちだよ!」 アヒルのこえに、ハクチョウは おどろいたように ふりかえります。 よるのそらに、たくさんの さよならと ありがとうが あふれだすのでした。
つぎのひ。 アヒルは、うまれて はじめて、もりのそとにでることに しました。 じぶんも、ハクチョウのように ゆめをもっていきることに きめたのです。 それは、けわしいみちのりかも しれません。 ゆめなんて、みつからないかも しれません。 それでも、みずうみにいるより ずっと マシです。 だれもいなくなった みずうみに、しずけさが もどります。 アヒルのぼうけんは、まだ はじまった ばかりなのでした。
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