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なくした しゃしん
ゆきのふる ちいさなまちの おはなし。 そのまちに、ひとりの おじいさんが くらしていました。 おじいさんは、ゆうめいな しゃしんか。 いまは、うまれた このまちで、ネコと くらしているのでした。
あるひのこと。 おじいさんは、ネコといっしょに まちを さんぽしていました。 ふと みあげると、そこには ゆきまつりの かみが はられていました。 まわりをみわたすと、たしかに みんな いそがしそうです。 それをみて、おじいさんは おもいだしました。 きょねんの いまごろ、ネコに であったことを。 わかいころは、せかいじゅうを たびしては、しゃしんをとっていた おじいさん。 としおいてからというもの、しゃしんも とらずに、おさけばかり のんでくらしていました。 このまちには、とりたいと おもう しゃしんが なかったのです。 よっぱらった おじいさんが、ろじうらに すわりこむと、そこに ふるえている ネコのすがたが ありました。 おじいさんは、てにもった パンを ちぎって、ネコに あたえました。 それから、ネコと おじいさんの くらしが はじまったのです。 だれかのこえが きこえて、おじいさんは われにかえりました。 みると、わかい しゃしんかが、みちゆくひとの しゃしんをとっています。 おじいさんは、その しゃしんかに おねがいして、いちまい しゃしんを とってもらうことにしました。 ネコと おじいさんが ならんだ、すてきな きねんしゃしんです。 おじいさんは、しゃしんかに おれいをいうと、かえりみちを たどります。 いつのまにか、ひがくれていました。 そらをみあげていた おじいさん。 まえから きたひとに ぶつかってしまいました。 あぶない あぶないと おもい、おじいさんは しっかりと まえをむいて、いえに かえるのでした。
そのひの よるのこと。 おじいさんは、ひっしで なにかを さがしています。 それは、ひるま まちでとった あの しゃしんでした。 どうやら、ひとに ぶつかったときに おとしてしまったようです。 がっかりした おじいさんでしたが、ネコが えさをねだると、えがおで ゆうしょくの したくをはじめるのでした。 それから、いちねんが たちました。 しずかな いえのなかに、かなしいおとが ひびいています。 ネコが てんごくに いってしまったのです。 あんなに げんきだった ネコ。 それでも、かみさまがくれた じかんには かぎりがあったのです。 おじいさんは、いちにちじゅう なきあかしました。 かなしくて、かなしくて。 なにもするきが おきません。 そして、かなしさを わすれるために、むかしのように おさけをのむように なってしまうのでした。 まいにち まいにち、よっぱらう おじいさん。 まちにでては、おさけを かって、みちばたで すわりこむ ひびが つづきました。 こうしていれば ネコに あえる。 そんな きがしたのでしょうか。 しかし、ネコが おじいさんのまえに あらわれることは ありませんでした。 さむいよる。 つめたい かぜ。 きれいな つき。 くるしい こころ。 おじいさんは、おもいました。 もう、いきていても しかたないじゃないか。 このまま、めをとじてしまえば ネコにあえるかもしれない。 じぶんも、てんごくへ いこう。 そう かんがえ、めをとじた そのときです。 まちに、つよいかぜが ふきました。 その かぜにのって、おじいさんのところに なにかが とんできました。 おじいさんが ゆっくりと めをあけると、そこには あのひ なくしたはずの しゃしんが しわしわになって おちていました。 しゃしんのなかの ネコが、おじいさんに ほほえみかけているようでした。 おじいさんは、しゃしんをひろうと おもいきり、だきしめました。 「まだ できることがあるじゃないか」 ゆっくりと たちあがる おじいさん。 じめんにころがる、おさけのビン。 ふらふらに なりながらも、おじいさんは ある おみせのドアを あけました。 そこは カメラやさん。 カメラをてにした おじいさんのすがたを、ネコが くものうえから みまもっているのでした。
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