|
|
|
|
あおい ほし
ちいさな みなとまちの ものがたり。 そのまちに、あいしあう ふたりが くらしていました。 おとこは、りょうしをしており、おんなは まいにち おとこの ぶじをいのっては、あたたかい スープをつくって まっているのでした。
あるひのこと。 そのひは あさから あめがふっていました。 ふねは だいじょうぶだろうか。 あらしに あっては いないだろうか。 おんなは しんぱいそうな かおをして、まどのそとと とけいのはりを、こうごに みつめていました。 しかし、どんなに まっても おとこは かえってきません。 ふあんで いてもたっても いられなくなった おんなは、かさをてに あめのまちへと かけていきます。 みなとに つくころには、あめは つよまり かさも やくにたたなく なっていました。 ともだちの りょうしに はなしをきいても、おとこの ゆくえは わかりません。 ふねも、どうやら みなとには ついていないようでした。 おんなは、ともだちが とめるのも きかずに そとで ふねが くるのを まちつづけました。 どうか、ぶじに かえってきますように、と おんなは いのりました。 やがて、からだの よわいおんなは あめのなかに くずれおちるのでした。
つぎのひ。 おんなは、じぶんのいえで めをさましました。 かぜをひいて しまったのか、からだが おもうように うごかず、おきあがることも できません。 それでも、しせんだけで おとこのすがたを さがします。 すると、げんかんの ドアがあいて ともだちの りょうしが はいってきました。 おんなは、ふねのことを たずねます。 りょうしは、くらいかおをして ふねが あらしにあったことを つたえました。 おとこも、おなじふねにのった りょうしたちも ゆくえふめいになっていたのです。 おんなは がっくりと かたをおとしましたが、ゆっくりと たちあがると、だいどころへと むかいました。 りょうしが おんなを とめましたが、おんなは れいぞうこから やさいを とりだします。 おとこのために スープをつくろうと いうのです。 いえのなかに トントンという ここちよい おとがひびきます。 やがて、おいしそうな スープが できあがりました。 おんなは、それを おさらによそり、テーブルのうえに 3つ ならべました。 おとこと おんなと、ともだちの ぶんです。 そして、しんしつにあった あおいはなを テーブルのうえの かびんに さしました。 それは、おとこが おんなの たんじょうびにくれた きれいな はな。 おんなの たからものでした。 おんなは、まどから つきに てをあわせ、おとこの ぶじをいのりました。 ゆっくりと たおれる おんなのからだを、りょうしが くちびるを かみながら、だきとめるのでした。
そのひの よるのこと。 とおくの そらのしたに、あかりが みえました。 おとこの のったふねが、みなとに もどってきたのです。 あらしには あったものの、みな ぶじに かえってくることができました。 おとこは、いそいで おんなのまつ いえにむかいます。 げんかんの ドアをあけて、おおきなこえで おんなのなまえを よびました。 そのときです。 しんしつから りょうしが でてきました。 てには、かれた はなを もっています。 それをみた おとこは、すぐに しんしつへと かけていきました。 そこにいたのは、しずかに よこたわる おんなの すがたでした。 いえのなかに、おとこのこえが ひびきます。 なんども、なんども おんなの なまえをよびました。 それでも、おんなは へんじをしては くれません。 りょうしが、おとこのかたに てをおきました。 そして、かれてしまった あの あおいはなを てわたします。 おとこは、それを うけとると、なにかを おもいだしました。 それは、あらしのなか ただひとつ かがやいていた、あおい ほし。 この はなと おなじように、きれいな はなでした。 ふねは、その ほしのひかりに みちびかれて、みなとに かえってこられたのです。 「なかないで。ほら、スープが さめちゃうわ」 おんなのこえが きこえました。 それは、とおくの そらから きこえてくるようでした。 おとこは、まどをあけて よるのそらを みあげました。 あの あおいほしは、もう どこにも みえませんでした。 おとこは、しずかに まどをしめると、おんなに おれいをいいました。 たすけてくれて、ありがとう と。 ほしが きれいに かがやいています。 あした はれたら、あの はなを かいにいこう。 おとこは、しずかに イスにすわると、ゆっくりと めをとじるのでした。
|
|