15時の童話
ひるさがりの午後。 コーヒー片手に童話はいかがですか?

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プロフィール

Author:まみや ゆうき
 「文学や 文芸ではなく 文療を」

 ひとり ひとり、
 同じ人間がいないように、

 ひとつ ひとつ、
 心の痛みは違うもの。

 お医者さんが、
 薬を処方するように、

 その人にあった、
 その人のための“童話”を
 処方いたします。

 ご用命は、下記、
 「フェアリーテイル・セラピー」より。

■オフィシャル・ホームページ
ひとつだけ

■絵本創作ユニット「くまみみ」
・くまみみのおもちゃ箱

■提携会社

・Art Bridal Creation様
・office-y-two様
・Flower Land Japan様

■作品掲載サイト
「5分で癒される物語」
5分で癒される物語を配信しています。時間がない人でもちょっとの時間にちょっとだけ元気になれる作品集。



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7つのつるぎ 最終話

 ふう、今日もいい天気ね。
 全く、あんなに真っ黒だった空が嘘みたい。

 …あれから、3年が経つのね。
 早いものだわ。

 みんな、どうしてるかしら。
 元気にやっているかしら。

 今日、このトスタ村にみんなが集まる。
 …ふふ、楽しみだわ。

 最終話 エピローグ〜3年後の世界〜

 …ふう、こんなものかしらね。
 パーティーの準備はこれで終了!

 …あら、誰かがこっちに飛んでくるわ。
 ふふ、あの、おっちょこちょいぶりは、ランちゃんね。

 ラン:おはよう、マリアさん!
 ポポ:おはようございます、マリアさん。

 おはよう、ランちゃん、ポポちゃん。
 久しぶりね。

 あの、闇の神との戦い以来ですものね。
 2人とも、少し大きくなったわね。

 ラン:そうでしょう?歌だって、上手くなったのよ。
 ポポ:僕たち、森を出て音楽の演奏の旅をしてたんです。

 まあ、それは素敵ね。

 ラン:それで、世界の色んな場所でアルのことを聞いたわ。
 ポポ:ええ、本当に長い旅をしてらしたんですね、アルさん。

 そうね。
 そして、あの日から、アルは行方不明…。

 ラン:(お前のせいだぞ、ポポ!)
 ポポ:(そ、そんなこと言ったって…)

 ふふ、いいのよ、気にしないで。
 さ、お腹も空いたでしょう。少し早いけど、食事にしましょう。

 フーガ:おい、ヒゲを引っ張るなって言ってるだろう!
 ジーク:フーガよ、その子を落としたら承知しないぞ。
 フーガ:だったら、自分で持てよ!
 ジーク:…私に勝てたらな。
 フーガ:…くそぅ。

 あら、フーガさんに、ジークさん。
 お久しぶりです。

 フーガ:ああ、マリアさん。もう、すっかり元気ですね。

 フーガさん、子供が出来たんですか?

 ジーク:はは、この子は私の子ですよ。名前は、カノンっていいます。

 ふふ、こんにちは。
 …何を持ってるの、カノンちゃん?

 フーガ:気をつけてください、それ、本物の剣ですよ。
 ジーク:カノンは私を越える剣士になってもらわないとな。

 …大変ね、カノンちゃん。

 アレグロ:し、師匠、待ってくださいよ!

 あら、アレグロさん。
 師匠って?まさか、ジークさんの所で修行を?

 ジーク:そうなんですよ、あの日以来、ずっとね。
     なかなか、筋がいいですね、今ではフーガと肩を並べます。
 エリーゼ:初めまして、ジークの妻のエリーゼと申します。
      あなたが、マリアさんね。

 は、はじめまして(キレイなひとだなー…)。

 エリーゼ:でも良かったのかしら、私なんかが呼ばれてしまって。

 いいんですよ。大勢の方が楽しいじゃないですか。
 さあ、こちらに来て、お肉でも焼いてくださいな。

 あら、火が無いわ。
 家から取ってくるわね。

 カヴァティーナ:それには及びませんよ。

 あら、カヴァティーナさん。
 ありがとう、素敵な炎ですわね。

 アレグロ:カヴァティーナ!
      お前、元気だったか?

 カヴァティーナ:久しぶりだな、アレグロ。
         しかし、太陽の光なぞ、久しぶりだ。

 そうね、火の神様として、
 火の洞窟の中にいなければならないのですものね。

 カヴァティーナ:ああ、神の仕事は大変だ。

 シェラザード:カヴァちゃんは、まだマシな方よ!

 あら、シェラザードちゃん。

 シェラザード:失敬な!今では、お母様の後を継いで、
        水の神様になったのよ!

 ふふ、ごめんなさい、水の神様。

 シェラザード:えへへ…。

 王様:いいではないか、大臣!
    今日は、みなが集まる日じゃぞ!

 あら、王様。
 それに、大臣さんも。

 あら、何を持ってらっしゃるの、大臣さん。
 …素敵な女性の写真ですね。

 王様:マリア、こいつに言ってやってくれ!
    わしは見合いなどせんと言っているのに!

 でも、王様、後継ぎが無くては大変ですよ。

 王様:後継ぎはもう決めてある!
    わしの後を継げるのは、アルしかおらんのじゃ!

 …アル、ね。

 王様:いいか、大臣!
    何としても、アルを見つけ出すのじゃ! 
    そして、我が国を継がせるのじゃぞ!

 まあ、王様。
 そんなに大声出さずに、これでも食べてください。

 王様:わしは、もう大人じゃ!
    立派な王になったのじゃ!
    誰が、プリンなどの誘惑に負けるものか!

 …この特製カラメルソースをかけても、ですか?
 ほら、いらないんですか?いらないなら、大臣さんに…。

 王様:…たべる。

 …何!?
 急に地面が揺れだした…。

 きゃあ、地面から、何か…。
 あら、あなたは。

 ポロネ:すいません、驚かせましたね。

 何だ、ポロネくんか。

 クラヴィーア:だから、地面の移動は大変だって言ったのに。
        ほら、みんな驚いてるじゃない。
 ケルツォ:そうだ、地の神になったからといって、何をしてもいいとは限らん。
 コルペス:ふぅ、地中探索は大変だ。

 …ポロネくんが、地の神に。

 シェラザード:もぐもぐ、わらしらしってちゃわや、もぐもぐ。
 カヴァティーナ:…シェラ、口に物を入れて話すな。
         何が言いたいのか分からない。
 
 プリング:「私は知ってたわよ」だってさ。

 あら、プリングちゃん。
 …どうして分かるの。

 プリング:だって、私もよく食べながらしゃべるから。

 …そう。
 でも、女の子は、あんまりそういうこと、しないほうがいいわよ。

 ロワ:いいから、こっちに来い!
 ホルン:いや、でも、僕は…。

 あら、ロワくんに、ホルンくん。
 どうして、2人が一緒に?

 ロワ:こいつは、ロンド義賊団に入ってもらった。
    闇の魔法とはいえ、あれはすごい盾になるからな。

 フーガ:久しぶりだな、ロワ。
 ロワ:…ああ、お前も元気そうだな。

 2人とも仲良くなったのね。

 フーガ:食事が終わったら勝負だからな。
 ロワ:望むところだ。
 アレグロ:俺も参加するぞ。

 男の子ってどうして、こう…。

 癒しの巫女:怪我をしたら、すぐに治してあげるわ。

 あ、お久しぶりです、巫女様。
 でも、そういう問題じゃないんじゃ…。

 クインテット:あー、お腹空いた!

 クインテットくん。
 ご苦労様、こっちに来て、食事にして。

 フーガ:どうしてクインテットが、この村に?

 …アルの家を建ててもらってるの。

 ジーク:なるほどね。

 クインテット:もう少しで終わるんです。
        何分、一人でやってるもので、時間がかかるんですよ。

 エリーゼ:完成が楽しみね。

 ええ、本当に。
 後は、本人が帰ってくるだけなんだけど…。

 …。
 ……。

 さて!これで、ほとんど揃ったわね。
 …風の神様は、きっと来ないわよね。

 じゃあ、改めて、3年ぶりの再会に、乾杯!

 『かんぱーい!』

 クラヴィーア:…子供はやっぱり、オレンジジュースね。

 …。
 …どうして、ここにいるの?

 ずっと、待ってたのに!
 何の連絡もよこさないなんて!

 フーガ:どうしたんだい、マリアさん。

 「ごめん、ちょっと遅れちゃったね」

 『アル!!』

 アル:わわ、ごめんよ、マリア。
    悪気は無かったんだ。
    ただ、ちょっと忙しくって…。

 バカ、アルのバカ!
 …心配してたんだから。

 アル:ごめんよ、マリア。

 ラン:女の子を泣かせるなよ!
 ポポ:…いつも、僕は泣かされてるよ。

 フーガ:お、俺様は心配なんか、してないぞ。
 ジーク:うん、青春だね。
 エリーゼ:…ふふ。

 王様:大臣!それは、わしのプリンじゃないか!…あれ、アル?

 カヴァティーナ:…アル。
 アレグロ:(また、強くなってるな…、こいつ)

 シェラザード:わーん、アルぅー!
 プリング:ぐす、アル…。
 
 ロワ:アル、元気そうだな。
 ホルン:…アルさんに、また会えた。

 ポロネ:アル!僕ね、地の神になったんだよ!
 ケルツォ:わわ、お前がはしゃぐと、世界が揺れるんだぞ。
 クラヴィーア:あれ、アル、ビール飲んでないのに、顔が真っ赤よ。
 コルペス:アル…。良かった…。

 クインテット:アル!もうすぐ、家が完成するよ!
        シャンデリアさんも、天井についてるよ。

 癒しの巫女:よかった、アルくん…。

 ネズミ:…ああ、あいつがアルか。

 ねえ、アル。
 今まで、どこで何をしていたの?

 アル:そうだな、何から話そうか。

 「もう旅も終わりなんだ。ゆっくり話せばいいさ」

 …クロ!
 あなたまで、どうして!

 クロ:その辺のことも、説明してやれよ、アル。
    いや、光の神。

 アル:分かったよ、クロ。
    ううん、闇の神様。

 どういうこと?

 アル:…それを説明する前に、一言だけいいかな。

 …なに?

 …。
 ……。

 『今戻ったよ、マリア』

 ☆ ☆ ☆

 こうして、アルの長い長い旅は終わりました。
 世界に平和が戻ったのです。

 あの日、闇の神が倒されてから、アルはどうしていたのか。
 そして、クロはどうして、闇の神になったのか。

 それは、また、別のお話…。

 ただ、忘れてはいけません。
 あなたの心の中にも、闇の神様は住んでいるのです。

 そして、光の神様も。

 いつか、あなたの心を、闇が支配するかもしれません。
 その時、光の力でも闇の力には勝てないことがあるかもしれません。

 でも、心配しないでください。
 あなたには、愛の神様がついているのです。

 それは、あなたの心にあるもの。
 だけど、ひとりでは愛の神様は眠ったままです。

 友達や恋人、家族のことを想うとき。
 そこに、愛の神様は現れます。

 そして、全ての悲しみや不安の素である、
 闇を掻き消してくれるでしょう。

 そう、この物語の世界とは、
 あなたの心の中のことなのです。

 もしも、闇の神様が、あなたの心にあらわれたら。
 アルのことを思い出してください。

 そして、アルのように、
 闇の神様を倒し、世界を平和にしてください。

 それが出来るのは、あなただけです。

 あなたの世界が、いつも平和でありますように…。

 ☆ ☆ ☆

 その後のこと…。

 アル。
 光の神として、世界を守り続ける。
 数年後、マリアと結婚。2人の子供をもうけ、幸せに暮らす。

 クロ。
 闇の神として、アルと協力しあい、
 世界の平和を守り続ける。どこにいるのかは、誰も知らない。

 ラン・ポポ。
 音楽の旅を続ける。
 その素晴らしい歌は、その後も歌い継がれることとなる。

 ジーク。
 愛娘、カノンを世界一の剣豪にするため、
 日夜、修行に励む。

 エリーゼ。
 ジークの良き妻として、カノンを立派に育てていく。
 
 フーガ。
 ジークの元を離れ、ロンド義賊団に入団する。
 世界を荒らす人間たち相手に、日夜、剣を振るっている。

 アレグロ。
 カノンに敗れ、剣の道を断念する。
 その後、カヴァティーナと結婚し、孤児院を設立する。

 カノン。
 後に、世界一の剣豪となる。
 今は、自分が何を持っているのかさえ、分からないというのに。

 王様。
 後に、世界中の王の頂点に立つ。
 しかし、あいかわらず、大臣の胃痛の種であることは変わりない。

 カヴァティーナ。
 火の神として、世界の平和を守る。
 アレグロと結婚はするが、火の洞窟と孤児院の別居状態。

 コルペス。
 おじいさん亡き後を継いで、様々な発明を行う。
 後に「機械唯一の人間」として、表彰されることに。

 シェラザード。
 水の神として、世界の平和を守る。
 コルペスが潜水艦だということを、今でも否定し続けている。

 ロワ。
 ホルン、フーガと共に世界中を旅する。
 ロワのおかげで、悪事を働く人間も減っているよう。

 ホルン。
 ロンド義賊団に入団。
 「義賊」の意味に、ロワが気付いているのか、いつまでも聞き出せない。

 ポロネ。
 地の神として、世界の平和を守る。
 後に、クラヴィーアと結婚。地の神の島で、幸せに暮らす。

 クラヴィーア。
 ポロネと結婚し、地の神の島で暮らす。
 ビールの味を覚え、悪酔いするのは、まだ先のことである。

 ケルツォ。
 水の神と共に、海上の平和を守る。
 最近では、海の料理を研究し、いつか店を出す予定。

 癒しの巫女。
 その不思議な力から、いつしか神のような扱いを受ける。
 宗教が作られ、教会まで世界中に建てられたが、本人の行方は知れず。

 クインテット。
 コルペスの協力を得て、「地の神にも負けない家」を建築。
 世界中に弟子がおり、伝説のきこりとなる。

 プリング。
 ネコ好きが講じて、ネコ研究家になる。
 どうにか、人魚のような猫魚を生み出したいと、切に願っている。

 風の神。
 今もどこかで自由に空を飛んでいるはず。

 シャンデリア。
 アルの家の天井で、幸せな2人を見守っている。
 幸せなイメージを影にすることで、癒しのシンボルにもされている。

 ネズミ。
 結局、事態を把握しないまま、今もどこかにいるはず。

 マリア。
 アルと結婚し、幸せに暮らす。
 しかし、アルに秘密にしていることが1つだけ。
 …マリアが、愛の神だったということ。

 それを、アルが知るのは、随分経ってからのこと…。
 
 光の神として、世界をまわってくるアルに、
 マリアはいつも、この言葉をかけているのだそう。

 『おかえり、アル』


 おしまい
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7つのつるぎ 第30話

 第30話 愛の力

 なんど、でも…。

 なんど、で、も…。

 いどんで、や、る…。

 こんなの、いたく、ない、ぞ。

 せかいは、もっと、くるし、んで、る。

 たとえ、この、からだが、きずついて、も…。

 ぼくは、まけ、ない…!

 まけるわけ、には、いかな、いんだ…。

 やくそく、した、んだ…。

 …。

 マリアを、すくうって…!

 だから、まけ、ない…。
 まだ、ぼくは、うごける、ん、だから…。

 …。
 ……うぅ。

 …まだ、まだ…だ…。
 …はぁ、はぁ…。

 ああ、体が、動かない…や…。
 …動け、この!

 …。
 ……。

 …何だ?
 …何だか、懐かしい歌声がするぞ。

 ラン:アル!何、寝てるんだ!
 ポポ:ああ、ラン!アルを蹴ったらダメじゃないか。
 ラン:だって、アルが…。
 
 はは、ランの歌だったのか…。
 それに、ポポも…。

 ポポ:アル、これ見てよ!アルにもらった草笛!
    あれから、ずっと、練習してたんだ。
 ラン:アル、私たちの歌を聴いて!そして、立ち上がって!
    私を助けてくれたように、世界を助けてあげて!

 〜♪
 〜…〜♪

 …ありがとう、力が、沸いてきた、よ。
 よし、体が動いて、きた。

 まだまだ。
 僕は、まだ負けてないぞ、闇の神!!

 …
 …!

 …うぅ!
 体は動いても、闇のつるぎの動きが、まるで見えない。

 …。
 ……。

 …この声は?
 どこです、どこにいるのですか!

 ジーク:全く、お前は基本を忘れてしまったのか?
 フーガ:そうだぞ、アル!
 ジーク:なんだ、お前もいたのか、プニプニ肉球さん。
 フーガ:…世界が平和になり次第、勝負だ師匠…。
 ジーク:いいか、アル!あの日の修行を思い出すんだ!

 あの日の、修行を…。

 フーガ:お前は、俺様を倒した男だ。闇の神なんかに負けるなよ!

 フーガ…。
 そうだ、師匠の修行を思い出すんだ。

 目を閉じて、体の気の流れを感じて。
 相手の気の流れに、それをぶつける!

 …!
 見える、見えました、師匠!

 もう、お前の攻撃は受けない、闇の神!
 これからが勝負だ!

 な、何だ、その小悪魔の数は…!
 くそう、これじゃあ、闇の神に近づけない…。

 …うん?
 何だ、次々に小悪魔が落ちていく…。

 王様:行け、大臣!あの、小悪魔を打ち落とすのじゃ!

 王様…!

 王様:アル、今だ!闇の神に攻撃するのじゃ!

 …ありがとう、王様。
 危険を冒してまで、こんな所まで飛行船で。

 王様:まだまだだ、大臣!
    もっと、打ち落とせ!
    …うん?
    大臣よ、何を飛ばしているのだ?
    …何!大砲の弾とな!!
    どうして、プリンではないのじゃ!
    プリンを使って、敵を倒せと申したであろう!
    …。
    …そうか、プリンじゃ敵は倒せないのか。

 危ない、王様!
 真っ黒な炎が、そっちに!

 王様:…うわ、大臣、何とかしろ!

 …あの、炎は。
 もしかして…。

 カヴァティーナ:アル、こっちは心配しないで!

 やっぱり、火の神様の火だ。
 …お願いね、カヴァティーナ。

 …もう1隻、飛行船が?
 あの、マークは…!

 コルペス:総攻撃、開始!!

 やっぱり、フライング・コルペス号!

 コルペス:小悪魔は僕達がやっつけるよ。だから、アルは闇の神を!

 ありがとう、コルペス!

 今度は、何をする気だ、闇の神!
 何をしたって、僕たちには勝てないぞ。

 …お前は、闇の鏡。
 そうか、まだ生きていたんだっけ。

 うわ、何だ、その影は。
 …影の悪魔たち…。

 今度こそ、砕いてやる、闇の鏡!
 覚悟しろ!

 …うわ!
 何だ、頭の上から雨が降ってきた…?

 シェラザード:アル!あなたの敵は、闇の神でしょ!
 水の神:そうです、アル。ここは私たちに任せなさい。
 ロワ:いくぞ、ロンド義賊団!水の神に続け!

 ホルン:みんなの守りは、僕に任せてよ!

 ポロネ:僕たちも助太刀するよ!僕も強くなったんだ!
 クラヴィーア:あら、ポロネくんったら、勇ましいこと。
        ビールも飲んでいないのにね。
 ケルツォ:いくぞ!元海賊をナメるなよ!

 クインテット:闇の神が倒れるぞぉー!っと!
        アル、僕も忘れないで!
 地の神:…だいちが、いかっている…!

 癒しの巫女:世界が泣いています。
       傷を治しますから、早く、闇の神を…!

 プリング:いっけー、ペットのネコちゃん達!
      あの黒いおじさんたちを引っかいてやりなさい!
      …は、はっくしゅん。

 風の神:俺の自由を返しやがれ!

 アレグロ:よし、みんな、カヴァティーナを助けるんだ!
      メンデル騎士団の力、見せてやるぞ!!

 光の神:あなたのしたことは、間違いじゃなかったのですよ、アル。

 みんな…。

 あ、危ない!
 闇の鏡が、レーザーを!

 …!
 あ、あなたは。

 シャンデリア:ほほ、お前の攻撃は効かないぞ、鏡よ。
 風の妖精:跳ね返してやれ、シャンデリアさん!

 …やった、鏡が砕かれた!
 これで、闇の神だけに…。

 何だ、割れた破片が集まっていく。
 まさか、再生できるのか…。

 それじゃあ、壊しても意味無いのか…?
 …うん?何だ、欠片が1つ足りてないじゃないか。

 ネズミ:おい、このキラキラしたのは何だ?
     そうか、これが鏡か。
     どうやら、これでサイセイというのが出来ないらしいぞ。
     お手柄ってやつだな、ははは!

 …あのネズミは誰だろう。

 でも、これで、闇の神と戦える!
 いくぞ、闇の神!

 みんな!僕に力を…!!

 カヴァティーナ:火の温もりを、アルに。
 水の神:水の癒しを、アルに。
 地の神:地の守りを、アルに。
 風の神:風の自由を、アルに。
 光の神:全ての生きる力を、アルに。

 ラン・ポポ:音楽のよろこびを、アルに。
 ジーク・フーガ:弱きものを守る剣を、アルに。
 王様:国を統べる力を、アルに。
 
 シェラザード:人魚の笑顔を、アルに。
 ロワ:償いの正義の力を、アルに。

 ホルン:孤独から抜ける勇気を、アルに。

 ポロネ:強さへの誓いを、アルに。
 クラヴィーア:あくなき探求を、アルに。
 ケルツォ:海賊の結束を、アルに。

 クインテット:自然への愛を、アルに。

 癒しの巫女:清浄なる雫を、アルに。

 プリング:故郷を想う気持ちを、アルに。

 アレグロ:大いなる母の願いを、アルに。

 シャンデリア:光を求める意思を、アルに。
 火水地風光の妖精:従う者の英知を、アルに。

 ネズミ:…アルって誰。

 「俺たちも忘れるなよ」

 クロ:永遠の友情を、アルに。
 マリア:愛の強さを、アルに。

 アル:うおぉぉぉぉぉ!!

 最終話へ つづく…
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7つのつるぎ 第29話

 第29話 最後のつるぎ

 …。
 あれ、僕はどうしたんだっけ。

 何だろう、この部屋は。
 真っ白な壁だけが見える。

 ううん、あれは壁に見えるだけだね。
 天井も、地面も無い。

 …。
 そうだよ。

 クロがマリアに向かって、つるぎを振り下ろした。
 そしたら、あの黒い渦が出てきて、マリアは…、マリアは…。

 あれ、マリアはどうしたんだっけ。
 思い出せないや。

 …。
 でも、たったひとつだけ、覚えていることがある。

 …マリアは、クロの手によって…。
 …マリア…。

 …うぅ…。
 …救えなかった…。

 何が、選ばれしものだ。
 何が、つるぎの勇者だ。

 僕は、弱いままだった。
 マリアを救うために、クロを止められなかった。

 闇に負けたんだ。
 光を持つことが出来なかった。

 …僕は、弱い。
 そう、僕は弱い人間なんだよ。

 …。
 ……。

 『そう、あなたは弱い人間…』
 誰、誰かいるの?

 『そして、強い人間よ』
 …誰、なんだい?

 『自分を弱いと言えたとき、人間は強くなれる』
 …そう、なの?

 『そして、世界は違って見えるはず』
 …世界が?

 『あなたは、旅の中で色んなものを得た』
 うん、それは、そう思う。

 『でも、大切なものを無くしたの』
 …大切な、もの。

 『よく、目を開けてごらんなさい』
 『そして、心から感じるのです』

 『さあ、もう目覚めるのです』
 『世界を救えるのは、あなただけです』

 『これを、あなたに授けましょう』
 『お願いしますね、アル…』

 ☆ ☆ ☆

 …!
 ああ、フーガ、心配かけたね。

 ありがとう、もう大丈夫だよ。
 …あいつはどこへ行った?

 …。
 ……。

 そう、世界が闇に覆われたのか。
 …光のつるぎも、壊れちゃったしね。

 …。
 大丈夫だよ、フーガ。

 僕には、これがある。
 …うん、不思議な場所でもらったんだ。

 きっと、心の世界だったと思う。
 そして、これは、僕の心の中にあったんだ。

 ううん、フーガ。
 君は、ここにいて。

 あいつは僕が止めるよ。
 …それは、これを持つ僕だけが出来るんだ。

 …大丈夫。
 だって、あいつは、クロなんかじゃないんだから!

 ☆ ☆ ☆

 …。
 ……。

 何てことだ。
 僕が眠っている間に、こんな…。

 海が真っ黒だ。
 地面だって真っ黒。

 風も薄暗いし、真っ黒な炎が上がってる。
 …お前がやったのか、闇の神。

 …もう、その姿をやめてもらうよ。
 お前はクロじゃない!!

 僕には分かる!
 もう惑わされないぞ!

 クロが…。
 クロが、マリアを傷つけるわけがないだろう!

 …うわ!
 …真っ黒い霧が…。

 …。
 ……。

 …それが、お前の正体か。
 人間の中にある、真っ黒なものの正体。

 …。
 そうだよ、光のつるぎは壊された。

 それでも、僕は負けない。
 闇になんて、負けるわけにはいかないんだ!

 …。
 僕には、誰にも砕かれないつるぎがある。

 ううん、僕だけじゃない。
 人間も人魚も、妖精も。

 全ての生きるものが持っているつるぎ。
 これが、7つめのつるぎさ。

 心の闇を払う、僕たちの武器だ。
 いくぞ、闇の神!

 『愛のつるぎ』よ、僕に力を…!!

 第30話へ つづく…
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7つのつるぎ 第28話

 第28話 闇の神様

 闇の神…か。
 どうして、俺はこんなことになってしまったのだろう。

 レクイエムも、ついに地獄に戻ってしまった。
 これで、全ての魔物がいなくなった。

 この世界に、闇のものは、俺だけになってしまったんだな。
 …アル、か。

 もうすぐやってくるんだな、アル。
 こんな俺を見て、あいつは何て思うだろう。

 ☆ ☆ ☆

 ようこそ、闇の城へ。
 …とか、言えばいいのかな。

 よく分からないんだ、そういうの。
 ずっと、レクイエムに任せてたし。

 おっと、危ないな。
 そんなに、敵意を剥き出しにするもんじゃないよ。

 ああ、そうだよ、アル。
 俺が、闇の神だ。

 そして、これが、お前の探している闇のつるぎ、さ。
 こんなものがあるから、世界がおかしくなったんだよな。

 …。
 それにしても、お前、ずいぶん立派になったな。

 なんていうか…。
 男らしくなった。

 長い間、旅してたんだもんな。
 っていっても、まだ、ひとつき位か。

 …!
 おい、人が話しているのに、不意打ちはないだろう?

 ちょっと、おとなしくしていてもらうよ!っと。
 …そう、そこで寝てなさい。

 おい、アル。
 お前の友達は、お行儀が悪いな。

 いつから、こんなやつとつるむようになったんだ?
 …へえ、こいつが、しゃべるオオカミか。

 レクイエムから話は聞いてたけどな。
 珍しい生き物もいるものだ。

 お前も、ちょっと、そっちに行ってろ!っと。
 ふう、これでおとなしくなったな。

 …。
 何だよ、何て顔してるんだ?

 …ああ、そうか!
 この影のせいで分からないのか。

 わりい、わりい。
 …これで、分かるだろ、アル。

 …。
 ……。

 「…やっぱり、クロだったんだね」

 ☆ ☆ ☆

 懐かしいな、アル。
 「何がさ…」

 おい、そんなに怒ることないだろう?
 「怒るよ!どうして、クロが闇の神様になってるのさ!」

 …アル、物事に順序があるだろう。
 まずは、ゆっくりと、話の本質に迫ってだな…。

 「そんな時間無いよ!早く、マリアを助けないと!」
 ああ、マリアか。

 「ああ、何だよ!」
 …よし、アル。面白いもの見せてやるよ!

 ちょっと、ついて来い!
 「ち、ちょっと、どこ行くのさ」

 ☆ ☆ ☆

 よし、このベッドの上でいいかな。
 …ふん!

 「うわ、真っ黒な渦が出来た」
 ふふん、驚くのはこれからだぞ!

 うーん、この辺かな…。よし、ここだ!
 「渦に闇のつるぎを差して、何してるのさ」

 …そりゃ!
 「わわ、何だ、何かが出てきたぞ」

 どうだ、アル。懐かしいだろう?
 「マリア!!」

 …相変わらず、苦しそうだな。
 「何言ってるんだよ!早く、助けてあげないと!」

 まあ、待て、アル。
 この闇のつるぎを足したって、まだ6つだぞ。

 …えい!
 「何したの、クロ」

 お前、ホルンっていうガキに会っただろう?
 「うん、闇の魔法を教えてもらったって」

 それを教えたのが俺なのさ。
 今、マリアにやったのは、その魔法だよ。

 「マリアにバリアを張って何するの?」
 …戦うのさ。

 「…!」
 どうした、アル!つるぎを抜けよ!!

 「何でさ!どうして、クロと戦わないといけないの!?」
 …なあ、アル。

 お前は、マリアを救えるか?
 「出来るさ!」

 そうかな?
 勝手にそう思ってるだけじゃないのか?

 「そんなこと無いよ!その為に、旅を続けてきたんじゃないか!」
 …俺も旅をしたんだぜ。

 お前が、村を飛び出した、次の日のことさ。
 覚えてるか?あの日、森で見つけた白い石。

 あの白い石と同じ形の黒い石が、
 何故か俺の部屋の机の上にあったんだ。

 そして、不思議な声が聞こえた。
 闇のつるぎを探せって。

 そして、7つのつるぎを手に入れれば、
 マリアを助けてやるって。

 それから、ずっと、つるぎを探していたんだ。
 でも、全然見つからなかった。

 まさか、お前が持っていたなんてな。
 それに気付いたのは、しばらく経ってからだった。

 レクイエムに教えてもらったんだ。
 お前が、光のつるぎを持って、残りのつるぎを探しているって。

 それで、そのうち、この城に来るからって言われた。
 それから、つるぎを奪えばいいって。

 お前のことは、そこの水晶玉でずっと見てたよ。
 音の妖精も、人魚も、火の神のことも…。

 全部、全部さ。
 そして、俺は気付いたんだ。

 …。
 お前の弱さに!

 「やめてよ、クロ!僕は、クロと戦いたくない!」
 そう、その甘さだよ、アル。

 お前は、この旅で、たくさんの人を助けてきた。
 どうしてだ!

 お前の目的は、マリアを救うことだろう?
 だったら、他の人間なんて相手にしている場合じゃないだろう。

 お前は、神にでもなったつもりか?
 「…そ、そんなことないよ!」

 いいか、アル。
 その力は、所詮、神様たちのものだ。

 お前は相変わらず、弱いままなんだよ!
 …これが、その証拠だ!

 …。
 ……。

 「…何してるんだい、クロ」
 見れば分かるだろう。マリアにつるぎを向けているんだ。

 ほら、どうした、アル。
 立ってかかってこいよ。

 マリアを救いたいんだろう?
 だったら、俺を倒してみろ。

 「そんなこと、出切るわけ無いだろう!!」
 マリアも救いたい、俺を傷つけたくない…か。

 それが、お前の出した答えなのだな。
 …分かったよ、アル。

 お前の旅は、ここで終わりだ。
 …さよなら、マリア。

 「マリアァァー…!!」

 第29話へ つづく…
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7つのつるぎ 第27話

 第27話 光と闇

 ふむ。
 案外、あっけない結果に終わったな。

 闇の神は、一体何を恐れていらっしゃったのか。
 まあ、今となっては、どうでもいいことだ。

 …ああ、よくやったぞ、闇の鏡よ。
 ついでに、闇のシャンデリアも探しておけ。

 私か?
 私は、闇の神様のところへ行ってくる。

 ☆ ☆ ☆

 ずいぶんと、この世界も闇に覆われてきたものだ。
 こうして空を飛ぶと、よく分かる。

 思えば、レクイエムとしてこの世に生まれ、
 一体、何年経っただろうか。

 もう、何度も死と生を繰り返してきた。
 それも、ようやく終わろうとしている。

 闇が光に打ち勝ったのだ。
 それも、あんな鏡などの力によって。

 ふふ。
 所詮は、子供ということか。

 あの程度の魔法で、心を支配されるとは。
 一度、手合わせ願いたかったのだがな。

 他の魔物を倒した、その力。
 この目で確かめられずに残念だ。

 …。
 よし、早く報告を終えて、次の仕事に取り掛かろう。

 ☆ ☆ ☆

 …。
 と、いうことでございます、闇の神。

 …?
 どういうことでしょうか。

 私は、ウソなど、決して。
 …うぐっ。

 な、にを、なさいます、やみの、かみ…。
 …ぐはぁ…はぁ、はぁ。

 まさか、そんなこと!
 確かに、やつらは引き返しました!

 この目でしっかりと見ております。
 乗ってきた船も、確かに遠くの陸に…。

 …。
 まさか、そんなことが!?
 
 それでは、闇の鏡の魔法もかかったふりだと…?
 やつらめ…!

 窓の外、ですと?
 …何だ、あの飛行船は!!

 し、失礼します、闇の神!
 アルめ、このレクイエムを出し抜いたつもりか!

 ☆ ☆ ☆

 集まれ、小悪魔どもよ!
 今より、あの飛行船を打ち落とす!

 決して、抜かるでないぞ!
 闇の恐怖を見せ付けてやるがいい!

 今だ!
 …かかれ!!

 …。
 ……。

 人間ごときに、空中戦を行えるはずがない。
 それに、闇の弱点も知りはしないだろう。
 
 これでいい。
 結果は、何も変わらないさ。

 …。
 ……。

 …どうした!
 何をてこずっているんだ!!

 闇の、弱点を…?
 どういうことだ!

 誰かが、裏切ったとでも言うのか!
 その弱点は、あの塔にいるものしか知らないはず!

 まさか…!
 あの光、あの揺れかたは…。

 「進め、フライング・コルプス号!!」

 シャンデリアぁぁ!!

 ☆ ☆ ☆

 …。
 …敗因は何だったのだろうか。

 闇の鏡を信じたせいか。
 やつらの演技に騙されたせいか。

 雲を貫かれると、太陽の光が差し込むという、
 シャンデリアの裏切りのせいか。

 生きていた風の妖精が、シャンデリアを助けた。
 それを放っておいたせいか。

 そもそも、闇は光には勝てないのか。
 光が存在する以上、闇も存在しなくてはならないのに。

 ならば、永遠に、私はこのままなのか。
 永遠に、光に怯えて生きなくてはならないのか。

 …。
 そんなこと、あってなるものか!

 私は、光の影ではないのだ!
 光が闇の影なのだ!

 認めん、認めんぞ!
 ニンゲンども…。

 「ここまでだよ、レクイエム」
 アル…。

 どうしてだ。
 どうして、お前たちはそこまで出来るのだ。

 それが、光の力なのか。
 どうして、そうまで、闇を憎むのだ。

 「人間は、光によって輝くからさ」
 では、何故、闇は存在するのだ。

 どうして、マイナスの力を与える闇が、
 人間の中に存在するのだ!

 いっそ、闇などなければ!
 光だけが存在すれば、私も苦しまなくても済むものを!

 「闇があるから、光が見えるんだ」
 …所詮、闇は光のためにあるのか。

 闇がある為に、それが過ちと気がつく。
 そして、そこに光が生まれる。

 光は、人間の力になって、
 たくさんの幸せを運ぶ。

 …。
 …それ以上の闇の犠牲の上でな。

 それが、真理なのか。
 それが、光と闇の全てなのか!?

 …。
 ふふ、長くしゃべりすぎたか。

 いいか、アル。
 そして、光の神よ。

 私はまた現れるぞ。
 光に打ち勝つ、その日まで何度でもだ!

 …。
 …別れは言わん。

 …。
 …闇に栄光を…。

 …。
 ……。

 「ううん、さよならだよ、レクイエム」

 第28話へ つづく…
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